視能訓練士の平均年収は約378.5万円!
「自分の年収は平均よりも上?それとも下?」
転職を考えている視能訓練士なら、だれもが一度はこのように考えたことがあるでしょう。
では、視能訓練士の平均年収はどれくらいでしょうか?
日本視能訓練士協会が2020年に行った調査(注1)によると、視能訓練士の平均年収は約378.5万円です。
同じ年に行われた国税庁の調査(注2)では全業種の平均年収が433万円となっているため、視能訓練士の平均年収は他の業種より低めといえるでしょう。
注1:公益社団法人日本視能訓練士協会『視能訓練士実態調査報告書 2020年』
注2:国税庁『令和2年分 民間給与実態統計調査』
視能訓練士の年齢別平均年収はどれくらい?
上で紹介した「平均年収」を見て「自分の年収は平均以上だった」と感じた方は、ちょっと注意してください。というのも、視能訓練士の年収は年齢(年代)ごとに違うからです。
実際、経験の浅い20代の初任給と50代のベテランの給与とでは大きく異なります。
『視能訓練士実態調査報告書 2020年』のデータによると、正社員として働く視能訓練士のうち、20代の平均年収は313.2万円、50代の平均年収は561万円です。

引用:公益社団法人日本視能訓練士協会『視能訓練士実態調査報告書 2020年』
仮に、ある視能訓練士(40代)の年収が400万円だったとしましょう。その人の年収は全体の平均年収「378.5万円」よりは高いものの、同年代の平均年収「460.5万円」よりは低い年収です。
ですから全体の平均年収と自分の年収を比較することには、あまり意味がありません。
ちなみに20代の平均年収と30代の平均年収には約80万円の差がありますが、これは「新卒入社から間がない、経験が浅い視能訓練士」と「ある程度経験を積んで、リーダーとしてプラスアルファの仕事を任されてきた視能訓練士」の差といえます。
また50代の平均年収が大きく増えているのは、「院長の右腕」や「マネージャー」として指導的な立場に就く視能訓練士が増えるためです。
視能訓練士の平均年収は病院とクリニックで違う?
視能訓練士の職場として一般的なのは、総合病院(私立病院)とクリニック(眼科診療所)です。
『視能訓練士実態調査報告書 2020年』によると、総合病院とクリニックそれぞれに勤務する視能訓練士の平均年収は次の通りです。
総合病院 | クリニック | |
男性 | 451.9万円 | 459.4万円 |
女性 | 370.4万円 | 355.5万円 |
この数字からわかる通り、総合病院とクリニックとで、平均年収にそれほど大きな差はありません。
ただし「視能訓練士として仕事内容」は、それぞれの施設で多少異なります。
・総合病院の仕事内容
主に来院の患者さんに対する検査業務が中心です。まんべんなく検査機器が揃っているため、あらゆる検査に対応する必要があります。加えて、斜視訓練、弱視訓練も行います。
・クリニックの仕事内容
検査業務に加えて、手術に関連する業務や受付、眼鏡やコンタクトレンズの処方、掃除などの雑務など、幅広い業務を行います。
検査機器の種類はクリニックによって偏りがあるのが一般的です。斜視訓練や弱視訓練も行います。
ただし難症例の患者さんは病院に紹介することも多く、クリニックで扱うのは比較的症例の軽い患者さんです。
地域によって異なる視能訓練士の平均年収
視能訓練士の平均年収は、地域によっても違います。まずは『視能訓練士実態調査報告書 2020年』のデータを見てみましょう。

引用:公益社団法人日本視能訓練士協会『視能訓練士実態調査報告書 2020年』
平均年収が最も高い東京(447.6万円)と、最も低い東北(376万円)とのあいだには、実に70万円以上の差があります。
厚生労働省が発表する「令和4年度地域別最低賃金」によると、東京都の最低賃金は「1072円」、青森県や秋田県の最低賃金は「853円」です。
地域によって賃金(年収)に差があるのは、視能訓練士に限ったことではありません。
またこれらの数字はあくまで「平均」なので、地方の総合病院やクリニックが東京に匹敵する、あるいはそれ以上の年収を提示してくれるケースもありえるでしょう。
視能訓練士の平均年収は勤務年数に比例
これも視能訓練士に限ったことではありませんが、勤務年数つまり経験やキャリアが長い人ほど平均年収は上がります。
たとえば入社から5年未満の視能訓練士の場合、平均年収は「312.5万円」です。年代でいうと、20代半ば前後の人がここに当てはまるでしょう。
これに対し25年以上30年未満、つまり50歳前後の視能訓練士では、平均年収が「554.9万円」となります。

引用:公益社団法人日本視能訓練士協会『視能訓練士実態調査報告書 2020年』
もちろん同じ年代でも、年収に大きな差がでるケースは少なくありません。
大きなクリニックでマネジメント業務に就いている視能訓練士と、スキルアップすることなく同じ仕事を続けてきた視能訓練士とでは、数十万〜百万単位で年収が違います。
ですから重要なのは「勤務年数」の多さではなく、その間にどのような経験を身に付け、スキルアップをしてきたか、という点です。
視能訓練士の雇用形態による平均年収の違い
視能訓練士の中には、総合病院やクリニックの正規職員として雇用されている人もいれば、パートなどの非正規雇用で働いている人もいます。
割合は正規職員がおおむね75%、非正規職員が25%です。

引用:公益社団法人日本視能訓練士協会『視能訓練士実態調査報告書 2020年』
少し古いデータになりますが、『視能訓練士実態調査報告書 2015年』によると、正規職員として働く視能訓練士の平均年収は「405.7万円」、非正規職員の平均年収は「216.9万円」でした。
これほどの差が付く理由は、両者の勤務時間(勤務日数)の差です。
正規職員の標準的な勤務時間が週40時間(8時間×5日)なのに対し、非正規職員の多くは週2〜3日(16〜24時間)や、週30時間程度。
なかには不定期雇用のため年収が不安定というケースもあります。

引用:公益社団法人日本視能訓練士協会『視能訓練士実態調査報告書 2020年』
視能訓練士が今より年収を上げる方法とは?

ここまで、さまざまなデータから視能訓練士の平均年収について見てきました。
では、実際に視能訓練士が「もっと年収を上げる」には、どうしたらよいのでしょうか?
平均年収と勤務年数の関係のところでも説明しましたが、ただ勤務年数が多いからといって、年収が大きく上がることはあまりありません。
同じ年代・同じ地域の平均年収よりも高い年収を得るためには、次の2点に取り組む必要があります。
1. キャリアアップする
2. 条件の良い施設に転職する
1. については、たとえば対応できる業務の幅を増やしたり、認定視能訓練士の資格取得を目指すことが挙げられます。
学会(日本視能訓練士協会、日本視能矯正学会、日本弱視斜視学会など)に参加して、視能訓練士についての最新の知識や技術を学ぶのもよいでしょう。
しかし、どんなにスキルを磨いたり知識を身に付けたりしても、施設側がそれを評価してくれなければ意味がありません。
実際、クリニックによっては「経験○年ならこれくらい」という基準で給与額を設定するところが多くあります。
この問題を解決してくれるのが2. の「転職」です。これまで身に付けてきたスキルや経験を高く評価してくれる総合病院やクリニックに転職しましょう。
そのためには自分の強みを客観的に分析し、それを効果的にアピールしなくてはなりません。
そこで活用してほしいのが「メドキャリア」です。
メドキャリアのエージェントは、スキルや経験を持つ視能訓練士と、それを必要としている総合病院やクリニックのご縁を繋いできました。
20代から30代なら平均「450万円」、40代から50代なら「600万円、700万円」という高年収も数多く実現しています。
視能訓練士として積極的にスキルアップし、それを評価してくれる施設に転職することで、一般的な平均年収を上回る環境を手に入れませんか?