認定看護師と専門看護師の違いって?仕事内容や資格など詳しく解説

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認定看護師と専門看護師の違いって?仕事内容や資格など詳しく解説

高い専門性を持つ看護のプロフェッショナルが取得する資格として「認定看護師」と「専門看護師」があります。看護師としてのキャリアアップのために、取得を目指す人も多い資格ですが、両者の違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、両者の役割などの違いや資格をとる方法、どういった人が向いているかなどを詳しく解説します。キャリアアップを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

認定看護師と専門看護師って何が違うの?役割など解説

認定看護師と専門看護師って何が違うの?役割など解説

認定看護師と専門看護師の違いや役割について解説します。どちらも医療の技術の進歩や専門化に合わせて設けられた資格ですが、その専門性や役割には違いがあります。

(1)認定看護師とは
特定の看護分野において優れたスキルと豊富な知識を持つ看護師を、現場に送り出し、より質の高い看護を広めるためにつくられた資格です。

認定看護師は、特定の認定看護分野において「実践」「指導」「相談」の3つの役割を担います。
・実践:優れた看護スキルを用いて、質の高い看護を実践する
・相談:看護師などケア提供者のコンサルテーション(相談)を行う
・指導:看護実践を通して周囲の看護師を指導する

認定看護分野は、制度の移行にともない、2026年度をもって教育が終了する21分野と2020年度から教育がスタートした19分野があります。

・2026年度をもって教育が終了する21分野
救急看護、皮膚・排泄ケア、集中ケア、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、訪問看護、感染管理、糖尿病看護、不妊症看護、新生児集中ケア、透析看護、手術看護、乳がん看護、摂食・嚥下障害看護、小児救急看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、がん放射線療法看護、慢性呼吸器疾患看護、慢性心不全看護

・2020年度から教育がスタートした19分野
感染管理、がん放射線療法看護、がん薬物療法看護、緩和ケア、クリティカルケア、呼吸器疾患看護、在宅ケア、手術看護、小児プライマリケア、新生児集中ケア、心不全看護、腎不全看護、生殖看護、摂食嚥下障害看護、糖尿病看護、乳がん看護、認知症看護、脳卒中看護、皮膚・排泄ケア

(2)専門看護師とは
複雑で解決困難な課題を抱える患者や家族に対して、より質の高い看護を提供するために、優れた看護スキルと知識を持った看護師を世に送り出すことを目的につくられた資格です。専門看護師は、施設全体や地域の看護の質を上げるのも業務範囲内なので、総合的に課題を把握する高い判断力と視野の広さが必要です。

専門看護師の役割は、「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」の計6つです。

・実践:優れた看護スキルを用いて、質の高い看護を実践する
・相談:看護師などケア提供者のコンサルテーション(相談)を行う
・調整:必要な看護ケアをスムーズに提供できるよう、保健医療福祉に関わる人たちのコーディネーションを行います。
・倫理調整:患者やその家族などの関係者の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る
・教育:看護者がケアの質を向上できるよう、教育的な役割をする
・研究:専門知識やスキルの向上・開発を目標に、実践の場で研究活動をする

専門看護師の専門看護分野は、下記の13分野です。
がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護

どちらも看護師としての専門性を活かせる役割ですが、両者を比較すると、医療現場での看護ケアの比重や仕事の幅広さに違いがあります。認定看護師は現場での看護ケアのスペシャリストですが、専門看護師は関係各所との連携や教育、研究など、現場から離れた仕事も多く担当します。

認定看護師と専門看護師の資格の取り方って?その違いとは

認定看護師と専門看護師の資格の取り方って?その違いとは

認定看護師と専門看護師は、資格のとり方も違います。それぞれ紹介します。

(1)認定看護師の資格のとり方
認定看護師の資格を取得するには、看護師免許を取得した後に、通算5年間以上の実務研修(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)を受けることが必須です。

上記の条件を満たしたうえで、認定看護師教育機関で学び、認定審査に合格する必要があります。認定教育機関には、2014年に設けられた「特定行為研修」が、カリキュラムに含まれない「A課程認定看護師教育機関」と、カリキュラムに含まれる「B課程認定看護師教育機関」があります。

特定行為研修を受けると、従来は医師の判断により実施してきた特定の診療補助を、看護師の判断で行えるようになります。

A課程認定看護師教育機関の開講期間は約6ヶ月で、時間数は600時間以上。B課程認定看護師教育機関の開講期間は1年以内で、時間数は約800時間、さらに特定行為に関する実習時間も設けられます。

(2)専門看護師の資格のとり方
専門看護師の資格をとるには、認定看護師と同様、看護師免許を取得した後に、通算5年間以上の実務研修(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)を受けることが必須です。

認定看護師との違いは、教育機関で受ける教育の要件です。専門看護師の資格を取得するには、看護系大学大学院で2年間の修士課程を修了し、所定の単位を総計26単位または38単位取得。認定審査に合格する必要があります。

認定看護師の資格を取得するのも、学校に通い所定のカリキュラムを修了する必要があり、非常に大変です。しかし、専門看護師は大学院で2年間勉強する必要があるため、さらにハードルが高いといえるでしょう。

両者とも、費用と時間がかかるため、キャリアアップを見据えて計画的に取得しなければいけません。

認定看護師と専門看護師、向いているのはどんな人?

認定看護師と専門看護師、向いているのはどんな人?

認定看護師と専門看護師は、高い専門知識と看護スキルが必要で、取得のハードルも高い資格です。自分にどちらが向いているかをしっかり知ったうえで、目指すのをおすすめします。

それぞれ向いているタイプをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

(1)認定看護師に向いている人
・看護学校卒業後に現場での経験を積みながら、より高い専門性を身につけたい
・幅広い分野に関わるよりもある特定の分野に注力したい
・キャリアアップしても患者と接しながら働きたい
・できるだけ短い期間で専門性を磨き、キャリアアップしたい
・周囲の看護師などのスタッフがスキルアップできるよう取り組みたい

(2)専門看護師に向いている人
・看護系大学を卒業後、より高い専門性を身につけたい
・現場での看護ケアだけでなく、さまざまな角度から患者や家族をサポートしたい
・他の医療関係者なども巻き込み、医療体制を整える仕事をしたい
・自宅など病院以外の場所でも、患者が必要な医療を受けられる体制を整えたい
・治療方針の決定など倫理的な課題に取り組みたい

まとめ

まとめ

認定看護師と専門看護師は、どちらも高い専門性を持つ看護のプロフェッショナルです。認定看護師は医療現場の最前線で質の高い看護を提供し、専門看護師は研究や教育、制度づくりなどより幅広く看護に関わるといった違いがあります。

どちらの資格も看護師資格と実務経験、所定の教育機関での学習が必要です。比較すると看護系大学院の修士課程を修了する必要があるため、専門看護師の方がハードルは高めです。両方とも、費用や時間がかかり、取得が大変なので、しっかり適性を見極めて取り組みましょう。