転職で内定をもらった後は、内定の承諾や退職日・入社日の調整、必要書類の提出など、やるべきことがたくさんあります。少しのミスから思わぬトラブルにつながる場合もあるので、事前に必要な手続きをおさえておきましょう。
この記事では、転職内定後に起きるトラブルや手続きの流れ、必要書類などを詳しく解説します。
転職内定後に起きるトラブルって?代表的なものを紹介
転職内定後に起こるトラブルには、下記のようなものがあります。事前に心構えをしておくことで、万が一の場合もスムーズに対処できます。
内定承諾の返事をすぐにできない
応募先から内定の連絡をもらっても、他社の選考結果が出てから決めたい・内定先に不安を感じている・家族と相談したいといった理由で、すぐに入社を決められないケースもあります。
内定承諾後の辞退は採用側に大きな迷惑をかけるので、いい加減な返事はできません。時間が欲しい場合は、すぐに内定先に連絡し、内定留保しましょう。
企業の採用活動スケジュールなどにもよりますが、多くの企業が早期離職を防ぐためにも応募者には納得したうえで入社して欲しいと考えているため、内定留保できる場合がほとんどです。留保できる期間は、2~7日程度が目安です。内定留保をお願いする場合は、マイナスな印象を与えないよう、伝え方を工夫しましょう。
あらかじめ転職先に求める条件を整理しておくと、スムーズに結論を出せます。
内定を取り消された
内定承諾後の取り消しは、下記のような限られた場合しか法律上認められていません。
・経歴詐称など、応募書類や面接で虚偽申告があった
・健康状態から就業が不可能と判断された
・入社条件で定められた資格が取得できなかった
・誓約書など入社手続きに関する書類を提出しなかった
・応募者が重大な違法行為をした
・内定後に著しく業績が悪化した
・自然災害により事業継続が困難になった
もし、上記の項目に当てはまらない場合は、内定取り消しの撤回、または転職先が決まるまでの保障を求めて、企業と交渉します。もし交渉がまとまらない場合は、訴訟を起こすという方法もありますが、訴訟にかかる年月などを考えると、割に合わない場合があります。
トラブルを防ぐため、企業についてよくリサーチし、信頼できるか見極めたうえで応募しましょう。
入社してみたら労働条件や業務内容が求人と違った
労働条件とは、働く際の条件を使用者と労働者の間で具体的に取り決めたものです。企業側が、内定時に労働条件や業務内容を明示しない、口頭で伝えるものの書面にしないといった場合は、必ず労働条件や業務内容を書面でもらうようにしましょう。
曖昧なまま入社すると、入社後に想定していない仕事を任されたり、給料や労働時間が募集要項と異なったりする可能性があり、トラブルや早期退職の原因となります。
労働条件や業務内容を書面で受け取り、内容を確認しておくことで、トラブルのリスクが減り、万が一の場合もスムーズに対応できます。
退職が遅くなってしまう
内定を承諾した後でも、決められた入社日までに入社できないと内定を取り消されてしまいます。あらかじめ、内定承諾から2~3ヶ月後に入社できるよう段取りし、確実に入社できるタイミングを応募先に伝えましょう。
法律では、正社員など期間の定めのない雇用の場合は、退職予定日の2週間前までに伝えれば問題はありません。しかし、業務の引継ぎやマナーを考え、できれば2ヶ月前、遅くとも1ヶ月前には退職の意識を伝えるのが一般的です。
転職内定後にすべきことって?手続きの流れを詳しく解説
転職内定後のおおまかな流れを知っておくことで、内定後にスムーズに手続きできます。
【1】内定の連絡を受け取る
最終面接日の3~7日後くらいに、応募先から選考結果の連絡が来ます。労働条件については、必ず書面でもらうようにしましょう。その場で即答せずに、書類を確認してから内定を承諾します。
内定の場合は、一般的に内定通知書・採用通知書・雇用契約書といった必要書類が郵送で届きます。
【2】条件の確認・内定承諾
必要書類が到着したら、面接時と条件などに変更がないかよく確認し、内定の承諾・辞退を決めます。もし、条件に納得できない場合は、企業の担当者と交渉します。
企業が指定している返答期限までに、内定承諾を伝えます。辞退する場合も、このタイミングで伝えましょう。
もし期日の指定がない場合も、1週間以内には返事をするのをおすすめします。承諾した内容を記録に残すために、メールも送信しておくと安心です。
内定承諾書などを提出する必要がある場合は、内定承諾後すぐに返送するようにします。
【4】入社日を決める
面接時に「いつから働けますか」というやり取りをする場合が多いため、内定通知のタイミングは、それを踏まえて入社日が指定されるのが一般的です。
もし、何らかの理由で指定日での入社が難しければ、転職先と相談しましょう。
【5】今の職場に退職の意思を伝える
直属の上司に退職の意思を伝えます。退職したい日の2ヶ月前、遅くとも1ヶ月前までに伝えるとスムーズです。
「繁忙期は避ける」「上司に伝える前は職場の誰にも言わない」「現職の不満を言わない」「転職先を伝えない」の4つを守ると、トラブルのリスクを軽減できます。
就業規則や業務の引継ぎ、残っている有給休暇の日数などを考慮し、退職日を決めます。
【6】雇用契約を結ぶ
雇用契約を結ぶと、入社が正式に決まります。雇用契約を結ぶタイミングは、内定通知書への承諾の返事が契約になる、内定承諾の後で結ぶなど、企業によってさまざまです。
事前に知っておくとスムーズ!転職内定後に必要な主な書類
転職内定後に必要書類を伝えられたものの、なかなか用意できず慌ててしまうケースも少なくありません。事前に知っておくことで、スムーズに用意できます。
退職する会社から受け取る書類
・年金手帳
転職先で年金に加入するために必要な書類です。本人の手元にある場合が多いですが、ない場合は会社で保管している可能性があります。2022年4月に冊子タイプの年金手帳は廃止されているため、そもそも持っていない方は基礎年金番号通知書を提出しましょう。
・源泉徴収票
転職先の年末調整に使用する書類です。退職から1ヶ月以内に、前職から交付されます。交付してもらえない場合は、税務署や労働基準監督署に相談しましょう。提出が遅れる場合は、その旨を伝えます。
・雇用保険被保険者証
ハローワークが発行する雇用保険への加入を証明する書類で、会社が保管しており、退職時に返却されます。もし紛失した場合は、ハローワークで再発行できますが、時間がかかるので注意しましょう。
転職先から受け取る書類
・給与振込先届出書
銀行名や口座番号など、給与振込に必要な情報を記入する書類です。振込先の金融機関を指定している企業もあるので、事前に確認して、必要に応じて口座を開設しましょう。
・健康保険被扶養者異動届
扶養家族がいる人が、健康保険に加入する際に提出する書類です。配偶者や子どもを被扶養者にすると、社会保険料の負担を軽減できます。
戸籍謄本・戸籍抄本・住民票の写しの提出が必要な場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
・扶養控除等申告書
年末調整時に扶養控除や配偶者控除などの控除が必要かを確認するための書類です。扶養家族の有無にかかわらず提出します。
・マイナンバー(個人番号)が確認できる書類
社会保険や雇用保険の手続きには、マイナンバー(個人番号)が必要です。正確なマイナンバーがわかれば問題ないため、マイナンバーカードのコピーまたは住民票の写しを用意します。
その他の書類
会社によっては、下記のような書類を求められる場合もあります。
・免許・資格などの証明書
・卒業証明書
・健康診断書
・雇用契約書
・入社承諾書
・身元保証書
・退職証明書
まとめ
転職内定後は、内定への返事や入社日の調整、書類提出などやるべきことが多くあります。場合によっては、内定承諾の返事をすぐにできない、内定を取り消されたなどのトラブルが起きる場合もあります。
内定が出る前に、手続きの流れや必要書類を把握しておきましょう。
手続きの流れは会社ごとに違うのはもちろん、業界や職種によっても傾向が異なります。医療業界専門の転職エージェントを利用してキャリアアドバイザーに聞くなど、情報収集しておくとスムーズです。