医療系の仕事のなかには、医師・歯科医師・薬剤師・看護師など国家資格が必要なものが多くあります。
社会人になってから医療系国家の資格に興味を持ったものの、「今からでは難しい」とためらっている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、医療系の国家資格を取得する方法や社会人が資格取得を目指すメリット・デメリット、国家資格を取得せずに医療業界で働ける職種について解説します。
医療系の国家資格ってどんなものがあるの?社会人が取得するのは難しい?
医 療系の職業の多くは、患者の命や健康に大きな影響を与えるため、国家資格が必須です。
医療系の国家資格は、基本的に大学や専門学校などで所定のカリキュラムを修了し、国家試験に合格しないと取得できません。例え合格率が高い国家資格であっても、学校に入学し、数年間にわたる教育課程を修了する必要があるので、難易度が高いといえます。
代表的な国家資格は下記の通りです。
1.医師
病気やケガなどの診断・治療をする医師は、医療系の国家資格のなかでも、最も難易度が高い資格です。
大学の医学部で6年間学び必要な単位を取得し、さらに国家試験に合格しなければいけません。医学部に合格するのが難しく、特に私立大学の医学部は非常に高額な学費が必要です。
2.歯科医師
歯科医師は、歯・歯茎・舌・あごなど、口腔内の診察・治療全般を専門に行う医療従事者です。「医師」と名前についていますが、医師と歯科医師は担当する領域が完全にわかれています。
大学の歯学部で6年間学んで必要な単位を取得したのちに、国家試験に合格する必要があります。私立大学の場合、年間300万円以上学費がかかるケースも少なくありません。
3.薬剤師
薬剤師は、医薬品全般の販売・調剤や患者への服薬説明を行う薬のスペシャリストです。
薬学部で6年間学んだ後、国家試験に合格しないと、薬剤師にはなれません。医師や歯科医師と同じく、学費が高額です。
医療現場だけではなく、化粧品会社などでの研究開発やドラッグストアなどさまざまな職場で活躍できます。
4.看護師
看護師になる方法は准看護師資格の有無などによって異なりますが、4年制大学や3年制の短大・専門学校を卒業し、国家試験に合格するルートが一般的です。
医師・歯科医師・薬剤師と比べ、入試の難易度は高くありません。また、奨学金制度なども充実しており、学費の用意もしやすい傾向にあります。
5.臨床検査技師
医師の指示のもと、患者から採取した血液などを調べる「検体検査」や心電図など患者の身体を直接調べる「生理検査」などをする仕事です。
大学で所定科目の単位を取得する、または短大・専門学校で3年以上学び所定の課程を修了することで、国家資格の受験資格を得られます。
医療現場だけではなく、検査を専門に行う検査センターや医療機器メーカーなどの企業で活躍する臨床検査技師もいます。
社会人が医療系の国家資格を取得するメリットって?代表的なものを3つ紹介
社会人が医療系の国家資格を取得し、キャリアチェンジする主なメリットを紹介します。
1.手に職がつく
医療現場の仕事は、人々の生活に欠かせないため、一般企業に比べて安定性が高い傾向にあります。特に国家資格が必要な職種は、資格を持っている人がいないと業務ができないので、ニーズが高いといえるでしょう。
そのため、子育てなどライフスタイルの変化に伴い、退職したとしても次の仕事が見つかりやすく、柔軟なキャリアプランを立てられます。
手に職をつけて、安定したキャリアを築きたいと考え、医療系の国家資格を取得する人は少なくありません。
2.やりがいのある仕事ができる
医療系の国家資格が必要な仕事は、多くの人の命や健康を守るという役割を担っています。そのため、「たくさんの人の役に立つ仕事がしたい」といった思いのある人は、大きなやりがいを感じられるでしょう。
3.高年収を目指せる
職種にもよりますが、医療系の国家資格が必要な仕事は専門性が高い分、年収が高い傾向にあります。特に医師は、年収1,000万円以上が当たり前の世界です。
残業・休日出勤・夜勤・当直などがある勤務先の場合、手当がつくため高年収になる傾向があります。
社会人が医療系の国家資格を取得するデメリットって?代表的なものを3つ紹介
医療系の国家資格が必要な仕事へのキャリアチェンジは大きなメリットがありますが、気をつけるべきデメリットもあります。
1.費用がかかる
医療系の国家資格を取得するには、基本的に大学・短大・専門学校に通い、所定のカリキュラムを修了する必要があります。
学校の受験料や学費、さらに仕事を辞めて学校に通う場合はその間の生活費も用意しなければいけません。
医療系は実習などが多い分、他の学部よりも学費は高い場合が多いでしょう。特に私立大学は、年間数百万円かかる学校もあります。
2.時間がかかる
医師・歯科医師・薬剤師は6年、他の国家資格でもほとんどの場合、3年以上は学校に通わなければいけません。
同年代の人がキャリアを積んでいる間、資格取得を目指すことになるので、「多くの時間をかける価値があるか」「キャリアプランをどうするか」など慎重に検討する必要があります。
3.年齢がネックになる
医師や看護師など、社会人を経て国家資格に挑戦する人も少なくありません。しかし、一般企業よりも年齢制限はゆるいものの、就職するうえでネックになる可能性があります。
特に人気の就職先を希望する場合、若い未経験者や同年代の経験者などがライバルになるため、苦戦を強いられるケースも考えられます。
国家資格取得を目指す前に、キャリアチェンジした人の就職状況をしっかりチェックして対策を練りましょう。
国家資格を取得せずに医療業界に携わる方法って?おすすめの職業を紹介
国家資格を取得するのは、時間や金銭面で厳しいという人も多いのではないでしょうか。
「何らかの形で医療に携わりたい」と考えているのであれば、国家資格がなくてもできる医療現場の仕事や医療関連のビジネスを展開する企業で働くといった方法もあります。
おすすめの職業を紹介します。
1.医療事務
医療事務とは、病院やクリニックなどで受付・会計・診療報酬請求などを担当する仕事です。医療事務関連の資格も存在しますが、必ずしも必要ではありません。
患者と直に接する機会が多く、医師や看護師など医療スタッフから頼りにされる仕事なので、医療現場で働きたい人におすすめです。
2.MR
MRとは、医薬品情報を医師などの医療従事者に提供することで、担当する医薬品の導入につなげる営業職です。医薬品の営業を通して、多くの人の命や健康を守れるため、やりがいが大きい仕事です。
専門性が高い職種ですが、研修が充実しており入社時に医薬品の知識がなくても採用されるケースが少なくありません。他業界であっても営業経験があれば、高く評価されます。
3.医療機器メーカーの営業
ガーゼなどの消耗品、MRIなどの精密検査機器といった、医療現場に欠かせない製品を取り扱う営業職です。医師や看護師に、医療機器の特徴や操作方法などを正しく伝えることで、よりよい医療の実現を支えられます。
MRと同じく、他業界での営業経験が活かせる仕事です。
まとめ
医師・歯科医師・薬剤師・看護師など、医療現場での仕事の多くは、国家資格が必要です。社会人を経て国家資格を取得し、キャリアチェンジする人も少なくありません。
医療系国家資格を取得して転職するメリットとしては、手に職がつく・やりがいを持って働ける・高年収が期待できるなどがあります。
しかし、多くの時間や費用がかかる、年齢がネックになるなどのデメリットもあります。医療事務やMR、医療機器メーカーの営業など、国家資格が必要のない職業に就き、医療を支えるのも方法のひとつです。
未経験から医療系の仕事に転職する際は、医療業界に特化した転職サイトで探すのがおすすめです。一般のサイトよりも医療系求人が多いため、未経験者歓迎または未経験者可の案件を見つけやすい傾向にあります。