企業看護師は何してる?仕事内容やメリット、向いているタイプを紹介

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看護師は病院やクリニックなど医療・福祉施設で活躍しているイメージが強いのではないでしょうか。しかし最近では、看護師として企業に転職して働きたいという看護師も増えています。

そこで今回は、「一般企業で働く看護師」についてご紹介していきます。企業で働く看護師の具体的な仕事内容・メリットから転職を成功させるためのポイントまで解説します。

1.企業で働く看護師とは

企業看護師とは、医療機関ではなく一般企業で働く看護師のことです。企業、特に大規模な企業では看護師が常在し、企業で働く人の医療的・看護的サポートを行っていることがあります。また、医療機器メーカーや品質管理の仕事など、医療機関ではない企業での看護師のニーズは増えています。

病院などの医療機関で勤務する看護師と比べると企業看護師の数は少ないですが、基本的にはオフィスで働く人と同様、9時~17時の規則的な勤務で週休2日制です。「病院での夜勤がキツイ」など日勤で働きたいというニーズから、企業への転職を考える看護師も少なくありません。

2.具体的な仕事内容や働き方

企業で働く看護師には、さまざまな種類があります。主な種類と仕事内容について紹介します。

医務室 / 健康管理室

企業の医務室や健康管理室で働く看護師は、企業看護師とも呼ばれますが、産業看護師とも呼ばれます。健康診断の実施や健康相談、定期的な保健指導などを行います。

治験コーディネーター(CRC)

治験がスムーズに実施されるように、製薬会社と医療機関をつないだり、被験者をサポートしたりする仕事です。治験施設支援機関(SMO)に所属して医療機関に派遣されることや、医療機関の治験事務局に所属することがあります。

臨床開発モニター(CRA)

製薬会社もしくは医薬品開発業務受託機関(CRO)に勤務し、治験がスムーズに実施されるために働きます。治験コーディネーターと同じ目的で業務にあたりますが、治験コーディネーターは医療機関側の立場であるのに対し、製薬会社側の立場であることが異なります。

品質管理者(QC)

医薬品や医療機器の品質を管理する仕事です。医薬品等を管理する倉庫などで業務を行います。また、医療機関の倉庫室などで働く場合もあります。

クリニカルコーディネーター

製薬会社や保険会社、クレジットカード会社などでは、顧客向けに電話による健康相談を実施していることがあります。看護師としての知見を活かして、コールセンターで相談業務を受け持つこともあります。

ヘルスカウンセラー

薬局や学校などで、健康関連の相談にのる人をヘルスカウンセラーと呼ぶことがあります。看護師もカウンセラーとして対応することがあり、消費者や学生などの健康に関する悩みに答えます。

イベントナース / ツアーナース

野外コンサートなどのイベントや国内外のツアーでも、看護師が必要とされることがあります。いずれも短期的な仕事のため、アルバイトとして雇用されることが一般的です。

3.企業看護師の特徴について

厚生労働省「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によれば、2020年末時点で特定の職場を有する看護師のうち、病院勤務の看護師は69.0%、診療所は13.2%、介護施設は7.9%、訪問介護ステーションは4.9%でした。医療機関・介護施設に勤務する看護師だけでも9割を超えており、その他の場所に勤務している看護師が少ないことがうかがえます。

また、その他の場所として、自治体や学校、社会福祉施設などの公的な機関に勤務する看護師も少なくありません。そのため、実際に民間の事業所で働く企業看護師は数が少なく、わずか0.4%と報告されています。企業看護師は数が少ないため、平均年収などの公的データは公開されていません。

しかし、多くの企業では看護師かどうかにかかわらず給与が決まるため、大企業や外資系企業などでは高額な給与やボーナスが得られると考えられます。数が少なく、しかも高給となると、転職・就職はかなり困難であることが予測されます。

企業看護師として働くメリットとデメリットを理解した上で、転職・就職活動に取り組んでいきましょう。

4.企業看護師のメリット

企業では働く看護師は、病院と働く場合に比べてどういったメリットがあるのでしょうか。一度、企業で働くことの利点を確認して、自身が求めている条件と合致しているか確認しましょう。

日勤のみや土日祝日休みでライフワークバランスが取れる

基本的には日勤のみかつ土日祝日休みの働き方が可能です。夜勤がないため、規則正しい生活を送れます。ライフワークバランスを重視したい方には理想的な職場といえるでしょう。

医療行為が少ないので、精神的に楽

主な仕事は相談業務などが多く、直接医療行為とは関わらないので、精神的に楽だというメリットもあります。

看護師1名~2名体制の場合が多いので、人間関係には悩まされない

病院のように大勢の看護師がいる環境とは異なり、どこも看護師は1~2名体制であることが多いので、人間関係に悩まされにくい点もメリットです。

5.企業看護師のデメリット

企業で働くことにはメリットはもちろん、デメリットもあります。注意点にも目を向けて、総合的に判断を下すことが大切です。

医療現場への復帰が遠のく

相談業務が主な仕事である企業看護師としての仕事が長くなると、病棟看護師としての感覚が鈍り、医療現場への復帰が遠のくことがあります。

収入が減る可能性がある

夜勤をしなくなることで収入が減る可能性もあるでしょう。特にコールセンター業務やイベントナース等はアルバイトとして雇用されることも多く、年収が減る可能性も高いです。

看護師1名~2名体制の場合が多いので、自身での判断が必要になる

企業においては看護師が1~2名体制の場合が多いので、看護師としての知見が求められる場面では自身での判断が必要になるという点もデメリットに感じるかもしれません。

病院で求められなかったスキルを求められる

パソコンでの書類作成などのスキルを求められることもあります。業務によっては営業スキルやプレゼンテーションスキルなども必要になるので、転職前にどのようなスキルが求められるか確認しておきましょう。

6.企業で働くことに向いている人

病院看護師と比べると圧倒的に少ない企業看護師ですが、どのような人に向いた仕事といえるのでしょうか。企業看護師向きとされる人の特徴について見ていきましょう。

夜勤のない仕事を探している人

医療機関や介護施設で働く場合、夜勤は避けて通れないことがあります。夜勤のない外来に勤務していても、転科の辞令が出て病棟看護師になることも少なくありません。しかし、企業看護師は基本的に日勤なので、ライフワークバランスを重視する人には適した仕事といえるでしょう。

臨床経験を活かした総合的な仕事をしたい人

病院看護師は、循環器内科や耳鼻咽喉科などの所属する診療科ごとにある程度は対応する病気や症状の幅が決まっています。5年以上さまざまな診療科を経験し、今までに得た臨床経験を活かして総合的な仕事をしたいと考えている人であれば、企業看護師に向いているかもしれません。

一般教養やマナーが身についている人

企業では、看護師としてよりは一社会人として評価されることになるため、看護スキルはもちろんのこと、一般教養やマナーが身についていることも大切です。それらが身についていれば企業看護師として働きやすいでしょう。

自分のペースで仕事を進めていきたい人

企業では、自分で仕事を管理して進めることが求められることがあります。スケジュールを立て、計画的に仕事を進めていくことが必要になるでしょう。指示を受けるのではなく、自分のペースで仕事を進めていきたい人や自主的に仕事を行いたい人など、企業看護師を目指してみてはいかがでしょうか。

7.まとめ~企業への転職はカンタンではない~

企業で勤務する看護師の仕事の種類は多く、活躍する場所も幅広いです。しかし、病院看護師と比べると人数は少なく、勤務先のある看護師全体のわずか0.4%のみです。ライフワークバランスが保ちやすいなどのメリットもありますが、求人数が少ないため競争率が高く、仕事を得るのは容易ではありません。

また、一般企業への転職なので、企業研究や面接対策が必要になるという点にも注意しておきましょう。仕事によっては、看護師以外の資格や条件を求められることも少なくありません。例えば産業看護師として働くのであれば、保健師や臨床心理士などの資格があると有利になることもあるでしょう。治験コーディネーターや臨床開発モニターであればパソコンのスキルは必須です。

企業看護師を目指すのであれば、正社員にこだわっていると思うような仕事に就けないことがあります。「契約社員」「非常勤」での勤務も念頭に置いて転職活動を進めていきましょう。