医療事務技能審査試験という正式名称をもつメディカルクラーク(R)は、医療事務に関する資格です。医療事務に関連する資格はたくさんありますが、なかでもメディカルクラーク(R)は医療業界から信頼の厚い資格です。この記事では、メディカルクラーク(R)の資格を取得する方法や、資格を取得するメリット、試験内容などを詳しく解説します。メディカルクラーク(R)の資格取得に興味のある人は、参考にしてください。
このページを簡潔にまとめると・・・
- メディカルクラーク(R)とは、日本医療財団が主催する資格で、人気も知名度も高い。
- 合格率は60~70%ほどで、難易度は高くない。
- メディカルクラーク(R)の試験は3科目で、試験会場に資料の持ち込みが可能。
- 就職・転職活動だけではなく、仕事を始めてからも役立つ。
メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)とは?
メディカルクラーク(R)とは、日本医療財団が主催する資格です。メディカルクラーク(R)の正式名称は「医療事務技能審査試験」です。受験資格の制限はなく、経験者・未経験者問わず、勉強して知識を身につければ誰でもメディカルクラーク(R)を受験できます。試験は毎月1回実施され、検定料は税込7,700円です。
メディカルクラーク(R)を取得すると、医療事務で必要とされる、窓口対応や請求業務の能力が備わっていると証明できます。メディカルクラーク(R)には実技試験もあるため、資格取得に励むと医療機関で必要なコミュニケーションも身につきます。
医療事務の資格のなかでも人気が高い
メディカルクラーク(R)は、毎年2万人ほどが受験します。医療事務関連の資格のなかで、メディカルクラーク(R)は人気のある資格の1つです。メディカルクラーク(R)が人気も知名度も高い理由は、試験と医療事務の内容がつながっており、業務の内容を全般的に学べるためです。
医療事務を志す人にとって、メディカルクラーク(R)の取得は1つの目標といえます。
メディカルクラークのやりがい
メディカルクラークは仕事名としても使われますが、仕事内容としては医療事務と変わりなく、医師や看護師が治療に集中できるように裏でサポートします。医療機関にもよりますが、メディカルクラーク(医療事務)は患者と接する機会が多く、感謝の言葉をもらえるケースも少なくありません。
医療に貢献していると実感できると、社会の役に立てる喜びを感じられます。知識を身につければ長期間働きやすい点も、メディカルクラークのやりがいの1つです。メディカルクラークを求める職場は全国にあり、引越しやライフスタイルの変化などに合わせて働き続けられます。
メディカルクラークになる方法
メディカルクラークを名乗るためには、民間資格の医療事務技能審査試験(メディカルクラーク(R))に合格する必要があります。
医療事務技能審査試験には受験資格の制限がありません。誰でも受験でき、合格できればメディカルクラークの称号が与えられます。
メディカルクラークの難易度・合格率
メディカルクラーク(R)の正式な合格率は発表されていませんが、60~70%ほどです。医療事務関連の他の資格では合格率が30%程度の難しい資格があります。相対的に見ると、メディカルクラーク(R)の難易度は低いといえるでしょう。また、メディカルクラーク(R)の取得に必要な勉強時間は、およそ200時間程度とされています。
合格基準
メディカルクラーク(R)は、実技Ⅰ・学科・実技Ⅱの3科目で構成されます。合格するためには、3科目とも70%を超える得点を取ることが求められます。
1つでも得点が70%未満の科目があれば、不合格です。ただし、70%を超えた科目は6か月間試験免除となるため、残りの科目を集中して勉強すれば合格の可能性が高まると考えられます。試験は毎月実施されるため、1度で合格できなくても何度も挑戦可能です。
メディカルクラーク(R)の合否は、試験から約1か月後に郵送されます。
メディカルクラークの試験内容
メディカルクラーク(R)の出題形式と試験の範囲を解説します。試験範囲は3科目に分かれているため、計画的に勉強を進めましょう。
出題形式
上述したように、メディカルクラーク(R)の試験内容は、実技Ⅰ・学科・実技Ⅱの3科目に分かれています。また、試験会場には資料の持ち込みが可能です。
実技Ⅰの試験時間は50分です。実技Ⅰでは記述形式の問題が2題出題され、400字以内で解答するよう求められます。学科の試験時間は60分で、3択の選択式の問題が25問出題されます。
実技Ⅱの試験時間は70分で、診療報酬請求事務の明細書点検に関わる4問に筆記で回答します。
試験の範囲
実技Ⅰでは、窓口対応に必要な患者とのコミュニケーションにかかわる能力を問われます。
学科では、医療事務の基礎的な知識が問われます。学科で出題される7科目を、以下にまとめました。
- 医療保険制度
- 高齢者医療制度
- 公費負担医療制度
- 介護保険制度
- 医事法規一般
- 医事業務
- 選択科目
医科の選択科目では、診療報酬請求業務・医学一般・薬学一般・診療録のいずれかを選択します。
実技Ⅱでは、実際の診療報酬請求事務業務を想定した出題がなされます。具体的には、診療報酬明細書の点検について勉強しておきましょう。
メディカルクラークの日程や会場・申込み方法
メディカルクラーク(R)は基本的に在宅で受験できますが、専門学校に通っている場合は学校で受験できるケースもあります。
メディカルクラーク(R)は、月に1回の頻度で試験が実施されています。受験日の2か月~3週間前までに申込書を取り寄せて、記入して送付してください。申込みと合わせて、受験料の納入手続きも済ませましょう。
メディカルクラークを取得するメリット
メディカルクラーク(R)は、就職・転職活動だけではなく、仕事を始めてからも役立ちます。資格を取得するメリットを解説します。
就職や転職で有利になる
就職・転職活動に挑む際に、メディカルクラーク(R)を持っていると、医療事務として必要な知識やスキルを証明することができるため、有利です。
医療事務になるためには資格は必須ではなく、少子高齢化が進み、医療機関でも人手不足が深刻化しています。未経験者や資格を持っていない人でも、応募できる職場があるほどです。
そんななかでも医療事務の資格として知名度の高い、メディカルクラーク(R)への評価は高まっています。メディカルクラーク(R)を履歴書に記載すると即戦力と見なされ、採用する側としても教育にかかる時間やコストが抑えられるからです。そのため、未経験者や資格を持っていない人と比べると、メディカルクラーク(R)をもつ人の方が採用されやすいと考えられます。
職場で活躍できる
メディカルクラーク(R)の取得に向け勉強すると、医療用語や書類の書き方も身につきます。医師・看護師と患者との架け橋のような立場になれると、職場で重宝されるでしょう。
また、難易度の高い医療系の資格取得を目指す場合は、メディカルクラーク(R)で勉強した内容がベースになります。
メディカルクラークの勉強方法
メディカルクラーク(R)に合格するためには、上述した3科目すべてに合格する必要があります。ただし、それぞれの科目の難易度はそれほど高くはありません。
出題形式に慣れるために、テキストや問題集を繰り返し解きましょう。本番を意識した演習を繰り返すことが、メディカルクラーク(R)に合格する近道です。医科では、メディカルクラーク(R)への合格に向け、3つの勉強方法を紹介します。
独学
独学では、市販のテキストなどを使って勉強します。独学でも合格する人はいますが、勉強としてはハードな方法といえます。医療事務の未経験者にとって、実技のイメージは難しいものです。特に、実技Ⅱの診療報酬点数の勉強には難航するかもしれません。
また、メディカルクラークの試験に特化したテキストはなく、過去問も販売されていません。仮に市販のテキストを探す場合は、以下の内容が掲載されているテキストを選びましょう。
- 医療保険制度や介護保険制度の基礎
- 患者への接し方やマナー
- 職場でのコミュニケーションスキル
- 医療費(診療報酬点数)の算定方法
通学講座
通学講座の強みは、分からない内容を講師に直接質問できることです。通学講座には一緒に学ぶ仲間がいるため、モチベーションも維持しやすくなります。
一方で、お金と時間に余裕がなければ通学講座を続けられない恐れがあります。通学講座は、独学や通信講座と比べて費用が高額です。また、通学する時間がかかり、講座を受ける時間に縛りがあります。
通信講座
独学では知識が身につくか不安を感じる人や、資格取得の費用を抑えたい人には、通信講座がおすすめです。メディカルクラーク(R)に特化した通信講座はあまり見られませんが、さまざまな会社が医療事務講座を開講しています。通信講座を受講すれば、独学よりも効率的に勉強できると考えられます。
通信講座は隙間時間を活用でき、自分のペースで勉強を続けられます。また、勉強で分からない部分があれば、メールなどで質問可能です。
まとめ
メディカルクラーク(R)は、医療事務に必要とされる能力や知識があると証明する資格です。しかし、メディカルクラーク(R)に特化した通信講座はあまり見られません。医療事務を目指すなら、医療事務講座の取得を検討してみてはいかがでしょうか。