視能訓練士になるためには国家資格を取得しなくてはなりません。そのためにはまず専門の学校に通い、受験資格を得る必要があります。視能訓練士の学科ではどのようなことを勉強するのでしょうか?
医療系だから難しいのではないかと不安を抱いている人もいると思います。実際に3年制の視能訓練士専門学校に通った経験のある私が学習内容についてご紹介します。
※ こちらの記事は、元視能訓練士のライターさんに執筆していただきました。
医療人になるために必要な基礎教養科目を学ぶ
視能訓練士の学科だからといって目に関する勉強だけというわけではありません。基礎分野として数学や英語、化学、倫理学、公衆衛生、心理学、保険体育など他の教科の単位も必要となります。
しかし短大・大学・看護師・保育士養成所を卒業している場合、すでに履修済みの科目に関しては、1年制の視能訓練士学校に入学すれば、再度学ぶ必要はありません。
目のプロフェッショナルになるための専門知識を学ぶ
目に関する仕事であるからには専門分野の知識は必須です。膨大な学習内容の中から3分野に絞り簡単に解説します。
1. 眼科解剖生理学
まずは目の構造を知らなくては理解が深まりません。そのため目の神経や筋肉、脳の回路などを学びます。
私が通っていた学校では、入学早々に目の構造を覚え、イラストと名称を書くテストが行われていたほどです。ブタの目玉の解剖実習を行ったこともあります。とても難しい分野ではありますが、目という小さな器官の働きや仕組みはとても興味深いですよ。
2. 視能訓練学
視力があまり育っていない幼児の検査や訓練は、視能訓練士にしかすることのできない重要な仕事です。それを行うにあたり必要な知識を学ぶのが視能訓練学です。
人間は生まれた時すぐに目が見えるというわけではありません。視能訓練学では、目はどのように成長し、視力が発達していくのかという発達過程を学びます。そして、斜視や弱視とはどういう状態なのか、その検査方法や診断方法、治療に向けた訓練方法の知識を身につけます。
3. 眼疾病学
診断を行うのは医師ですが、視能訓練士も正しい検査を行うために目の病気に関する知識が必要となります。眼疾病学では、目に関する病気の症状・原因・治療法などを学びます。
目の病気は、失明する原因に繋がったり、最悪の場合命を落とす病を発見したりするきっかけになる場合もあります。そのような重大な疾病を見逃さないようにしっかりと理解を深めることが求められます。
視能訓練士には欠かせない検査手技を学ぶ
視能訓練士は視力検査を始めとして、目に関するありとあらゆる検査をこなせなくてはなりません。そこで得た検査結果が医師の診断の重要な材料となるため、正確な検査手技を身につけることが求められます。
そのため、学校でも実践的な実習の時間が多く取られています。白衣を着用し、クラスメイトとペアを組んで視力検査・視野検査・眼底カメラなどの様々な検査を練習します。
また、視能訓練士は子どもの斜視や弱視の検査や治療も行うため、子ども相手の検査方法などの練習も必要です。学校によっては、実際に幼稚園生相手に実習を行うカリキュラムを取り入れているところもあります。さんから感謝されるやりがいある仕事、という点を考えるとやりがいのある仕事といえるでしょう。
実習では、検査機械の正しい使い方から、目薬の差し方、患者さんへの声のかけ方、検査結果の見方など、覚えることが多く最初は戸惑うと思いますが、実習を重ねるうちに自信が付いてきますよ。
臨床実習で即戦力を身につける
臨地実習では、実際にいくつかの病院を訪れ、実践の場で今までに身につけた知識・技術をさらに磨いていきます。実際の医療現場で実践的な技術・患者さんとのコミュニケーション・判断の仕方などを学ぶことで卒業後の即戦力として活躍できるだけの力が身に付きます。
各学校のカリキュラムは充実しています
以上、視能訓練士の学科での学習内容をご紹介しました。
覚える範囲が広く大変に感じるかもしれませんが、学校での知識はどれも視能訓練士となる上で欠かせないものです。学校によって特色のあるカリキュラムが用意されている場合もありますので、視能訓練士を目指しているならぜひ色んな学校の資料を請求してみてくださいね。